技術と勝負
テニスクラブのホームページでありながらテニスの話題がナイ!
これは重々承知しているのですが、なかなか書けないものです。しかしどーもライオン丸さんの書き込みが気になり、ちょっと僕なりの考え方を書いてみたいと思います。
はっきり言って、
テニスの技術の上達と試合で勝てるようになること、これはまったく別物です。
技術の向上を目指すか、早く試合で勝てるようになりたいか、これはその人がどちらを望むか、です。
あなたは技術を徐々に身に付けていけば、それに比例して勝てるようになる、なんて思っていませんか? そう、これは大変な誤解です。またそう信じ込んでいる人がいかに多いことか…
うちのお客様には「強くなりたいんですか? うまくなりたいんですか?」といつも問い掛けています。そして「強くなるための練習と、うまくなるための練習は、まったく違うのですよ!」と言っています。
そうです、強くなるためには強くなるための練習を、また、上手くなるためには上手くなるための練習をしなければいけないのです。
サーブはとても難しい技術の1つですよね。サーブのフォームをコーチにみてもらって少しずついいフォームで打てるようになってきました。でもだからといってサーブが入るようになるということはないですよね。
サーブが入るようになるには、それとは別にサーブを入れる練習をしなければいけないのです。サーブを入れる練習をするからサーブが少しずつ入るようになるのです。
じゃあフォームはどうして学ばなくてはならないのかというと、フォームを作ることでより確率の高いサーブが打てるようになる、あるいはより強力なサーブが打てるようになるからなのです。
さて、ここまで書いてきて気が付いた方がいるかもしれませんが、僕は「正しいフォーム」とは1度も書いていません。よく平気で「正しいフォームを学びましょう!」と言っているコーチや、皆さんの中でも「正しいフォームを身に付けなくっちゃ!」と言っている方を見かけますが、じゃあ正しいフォームってなんなんですか? というとこれが結構わかっていない人が多いんですよね。
僕に言わせると正しいフォームというのはないのです。
簡単に言うとコンシスタンシーを求めるフォームと、パワーアップを求めるフォームはまったく両極をなす打ち方だということです。どちらが正しいフォームですかと言われれば、どちらも正しいフォームなのです。
金太郎飴のようにどこを切っても同じというような画一的な正しいフォームというものは存在しません。その人にあった、あるいはその人がどういうテニスを望んでいるか、そういう一人一人の体格、筋力、あるいは要望にあった打ち方がまさに正しいフォームということができるのではないでしょうか。
プロの打ち方にしても常に正しい打ち方というわけではありません。プロには正確性とともにより強力なショットが必要となってきます。無理な体勢からも打たなければいけませんし、タイミングが合わなくても打たないわけにはいかないでしょう。皆さんが手本とするフォームとはおよそかけ離れた打ち方で常に打っています。
フォームと試合はシーソーと同じです。片方がレベルアップするともう一方ができなくなります。
できなくなった方をできるようにすると、今度はできていた方ができなくなります。じゃあ何で練習するのかというと、練習を重ねていって、シーソーの真中の部分(なんていうんだろう、土台?)を少しずつ向上させていくのです。これが練習の成果です。
とにかく今はテニスの技術に磨きをかけるんだ、という人は試合には出ない方がいいでしょう。テニスの技術を学ぶことはとても難しく、時間がかかります。しっかりと身に付けるまではフォームが崩れるようなことは避けた方がいいと思います。
逆に早く少しでも勝てるようになりたいという人は、フォームにはあまりこだわらず、どんなボールでも返すこと、狙ったところに打つこと、戦術を学ぶこと、試合にたくさん出ること、が重要になってくるでしょう。
主婦のテニスは、両方学ぶにはあまりにも時間が足りなさ過ぎます。いつまでもフォームに固執していたら、いつまでたっても試合ができるようになりません。4人集まるとすぐにゲームを始めている人は、技術レベルを上げることは、なかなか難しいでしょう。
ではどう考えたらいいかというと、どの辺で手を打つかということになるんですかね。難しいところです。
このテーマはかなり難解なため、このページがとても長くなりそうです。残念ですが今回はこの辺でいったん終了とさせていただきます。
まだまだ言いたいことは山ほどありますので、近いうちに続きを書きます。できれば具体的な質問など掲示板に書いていただければもっと書きやすいのですが…ヨロシク! ではまた!
テニスで学ばなければいけないこと
イヤー、思った以上に反響がありましたねー。ビックリです。
でも皆さんきっとこれをずっーと待ち望んでいたんでしょうねー… その気持ちが伝わってきます。じゃあ書きましょう! 僕は実を言うとこういう「マジメ」な話題が大大得意なんです。根がマジメなもんですから…
でも決して僕は正しい答えを書こうとは思っていません。というか正解はきっとないでしょう。ただ皆さんにこれを読んでいただいて、考える機会となってもらえればいいなと思っています。
さて「テニス大好き人間さん」も僕の「試合に出ない方がいい」という一言で安心されたようですが、今回は本当にそう思うか書いてみたいと思います。
テニスを学ぶ上で、いったどれだけのことを学ばなければいけないのか… ちょっと項目だけでも挙げてみましょうか。
まず打ち方がありますよね、それから試合のやり方、さらに戦術、フットワーク、ルール… そのうちの打ち方に関しても、フォアハンドストローク、バックハンドストローク、フォアハンドボレー、バックハンドボレー、スマッシュ、サーブ… その中のストロークでも高い打点、低い打点、遠い打点、後ろへ下がって打つ打ち方、前に進んで打つ打ち方、横に走って打つ打ち方、きめる打ち方、トップスピンをかけた打ち方、スライスをかけた打ち方、止まって打つ打ち方、走りながら打つ打ち方、ドロップさせる打ち方、ロビングの打ち方… ボレーでもハイボレー、ミドルボレー、ローボレー、パンチボレー、スライスボレー、アングルボレー、ドロップボレー、カットボレー、トップスピンボレー…
同様にサーブ、スッマッシュも項目であげたら同じくらいいくらでも出てきます。
戦術でも、もっと細かく挙げてみると、ポジショニング、コース取り、パートナーとのコンビネーション、シングルスをやる人はシングルスの戦術… フットワークにしても前への動き、横への動き、後ろへの動き、そして戻り方…
さらにこれらはストロークとボレー、スマッシュでは当然違ってきます。
どうです? ひとつづつ細かく挙げていったらこのページが全部埋まってしまいます。これを一つづつ確実に身につけていこうと思ったら、いったいいつになったら試合ができるようになるんでしょう?
ということはそのレベルレベルで試合をしていくのもいいんじゃないかな、ということになりますかね?
試合をしながら学ぶ点は、とてもたくさんあります。というか実戦の中でしか学べないことが、実は山のようにあるのです。
そしてそれは戦術的なことに限らず、技術的なことも改めて学べたりします。実戦もやっぱり必要でしょうね。
ちょっと時間がなかったのでさらっと書いてみました。実戦でしか学べないということをもっと詳しく書こうと思っていたのですが… いつか機会をみてまた書きましょう。
ではでは、次回はきっとアメリカから帰ってきてからになると思いますが、今度は「そんなに試合ばかり出ててどうすんの?」というテーマででも書いてみましょうかね…